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制作
3人で集まって、月に一度会議をした。網野さんが中世に生きた人たちの考え方や様子や、習慣・習俗などを司さんに話す。そこから司さんは自分なりの歴史像を形作り、エピソードや人物に息を吹き込んでは、活き活きとした歴史の風景を描き出した。出来上がった絵を網野さんがチェックしては、ダメを押していく。その二人の架け橋を山田さんが行なった。作品を一から作りあげる必要があった。結果、出来上がるまで8年の歳月がかかった。 絆
会社の会議室で話し合ったあとは、必ず3人で新宿ゴールデン街に向かった。網野さんが展開させつつあった歴史観が深まっていくのを、お酒を飲み雑談をしながら刻々と目の当たりにできたという。司さんの創作の苦しみや喜びも聞くことができた。編集者としてとても幸せな時間だった。こうしたことを続けるうちにそれぞれが、お互いへの信頼感を深めていったという。そして、生まれてきたものがあった。「絆」とでもいうべきものだろうか。本を出版した後も、家族ぐるみで付き合うことになった。いや、親戚か家族か、それ以上の絆のようにも思えた。
現在、苦境にある出版業界で求められているのはスピードだろうという。8年間という膨大な時間と労力を費やすことは、今はなかなか許されない。しかし、熟する時間を必要とし、それだけの価値がある作品を作ろうとすると、時間は欠かせない条件になる。 |